高速無料化が日本を壊す
『脱・道路の時代』の著者である上岡直見氏が2010年2月に上梓した本書。データ分析に卓越する著者の現況分析は説得力に富み、低炭素社会を展望する一方で、高速無料化といった逆行する施策を進める民主党政権の矛盾を丁寧に説明している。民主党が掲げる人々の「移動の権利」を保証するという政策指針は、高速無料化を進めることでむしろ遠ざけることが、数々の事例やデータから論証されており、しっかりと論理的に政策を立てていくことがいかに重要であるかを思い知らされる。個人的には、高速道路無料化で公共交通などの衰退を招くことで、自動車交通弱者の負担が増え、それは高速道路無料化で負担が軽減する額より多いという指摘が印象に残っている。感情論や短期的な視点で「高速無料化」を支持すると、とんでもないしっぺ返しを食らうことが本書からは理解できる。「日本を壊す」ことを回避させるためにも、選挙権を有する人はみな読んでもらいたい本である。
高速道路無料化 新しい日本のつくり方 (朝日文庫)
本当にすばらしい本だと思います。こういう本はぜひ高校の社会科の授業かなんかでとりあげて研究テーマにして勉強してもらいたいものです。
若い人にも希望を与える本だと思います。
高速道路の謎 (扶桑社新書)
各種自動車雑誌では、フェラーリ教のMJブロンディとして、結構ふざけた(自分は好きだが)記事を書いている著者だが、この本はいたってまじめだ。
渋滞の基礎知識から、高速道路の歴史、海外の高速道路事情、今後の日本の高速道路の行方、そして、高速道路無料化の是非など、とても分かり易くまじめに書かれている。
しかも、話題はホットだ。
特に、渋滞の発生のメカニズムは具体的な場所と原因を複数上げ、とても納得の行く解説がなされている。
さらに、渋滞時の高速と下道(一般道)とは、どちらが所要時間が必要かを身をもって渋滞へ乗り込むことにより数々の実例をあげ検証しているなど、学者や浅薄な解説本と異なりかなり内容が濃くなっている。
この本のおかげで、今後渋滞に出くわしても、通過時間の予想や、高速を下りるか否かの選択が落着いて出来そうだ。
ありがとう、MJブロンディ。
高速道路車窓鑑賞ガイド 東名&名神高速道路編
「そうだ、ドライブをしよう!」
そう思い立ち、すぐにでもエンジンキーを回したくなる一冊。
東名&明神高速を走りながら見えてくる様々な景色を丁寧に解説。
実際に自分が高速道路を走行しているかのように思わせてくれる。
ほぼフルカラーなので写真集のような感覚で楽しく読めます。
ETC1000円ドライブ。是非みんなでドライブに出かけたいものです。
自分で車窓からの写真を撮りまくって、自分なりの車窓鑑賞ガイドを作るのもまた一興なり。
高速道路何が問題か (岩波ブックレット (No.620))
日本の高速道路は山が多く、狭い国土の中で多くの人口が住んでいる以上、ほとんどが山の中で、鉄筋コンクリートの高架がほとんどです。土地の取得よりもトンネルを掘ったり、コンクリートで高架を作ることに多くの金が掛かるのでしょう。日本では道路や高架を作る建築技術ばかりが発達するのです。
富山から福岡に行くにはどうすればいいのとか、島根から宮城にいくにはどうすればいいのとか、日本の交通事情には解決できない国土が狭くて、山がちであるという、地理的要素も日本の高速道路の建設費や料金を高くしている一因だと思います。山陽だけ発展して山陰地方が高速道路がなくて行きにくいというのも地理的要因の日本の高速道路の欠点だと思います。