青年社長〈上〉 (角川文庫)
企業家のノンフィクションモノが好きなのと渡邉社長と歳が近いので読んでみた。
冒頭の佐川SDの描写に引きづり込まれて読みだした。
読んでいて思ったのは、何をやるにも目標を明確に立てそれに向けて邁進する事、
努力 行動を惜しまない事。
それと、本作に似た題材で、城山三郎氏著作の小説『外食王の飢え』を想起してしまった。
「外食王の飢え」の主人公モデルの江頭氏も明大出身(と言っても氏は卒論を破棄してして自ら中退となったが…)
である事など共通項が多い。時代背景や小説の脚色の違いを差し引いても根底のある、
信念に則り困難を排除して突き進む姿勢はいつの時代も普遍である。
余談ながら、当方も以前外食の仕事に携わっていた経験があるので、
業界の裏事情も嫌と言うほど熟知している為。
ストーリー上必要無いと言えば無いが、本書のようなキレイ事ばかりでなく
ダーティな部分、労働搾取の部分の描写が少ないのが不満であった。
当方が勤務していた会社も創業者の強烈なリーダ−シップの元、一代で上場を果たした会社であった。
上場前には、利益確保の為の残業手当のカット、店舗リストラ、
上場後は創業者利益を得た幹部社員の離脱等色々あったなと懐かしくも思ってしまった。
破戒者たち <小説・新銀行崩壊>
初めて高杉良作品を読みました。
官僚関係、インサイダー関係でもっと有名な作品はあるでしょうが、とにかく本作が初めて。
・・というのも、木村剛の名著「おカネの発想法」を読んで感銘をかつて受けたからです。
(まぁ、いま読み返すと大したこと書いていなかったのですが)
まず高杉良の作品は読みづらいですね。
「バカ」を「馬鹿」とも書かずに「莫迦」ですからね・・
当初「シャカ」と読んでて、違和感たっぷりでした。
あと、不必要なセックスシーンとか、性器描写は要らないですよ。
いったい何なんだか??
また、他作品は知りませんが、人物描写が足りない印象を受けました。
もっと木村のネチネチした感じとか出して良いと思いましたよ。
小泉ー竹中平蔵ラインを蛇蝎のごとく嫌っているのは良く伝わってきました。
確かに、この本を読むと、えらくいい加減な経済実験してくれたんじゃないか?って気がしてきます。
後半は、盛り上がりますね。特に商工ローンが絡んできたあたりから。
「木村の野望」がとうとう収拾が付かなくなってきた感が良くでていますよ。
ところで、木村さんはもうシャバなんですかね?
もうオールバックは勘弁して欲しいですね。
虚像〈上〉覇者への道
今回は規制緩和、革新的ノンバンク経営者。
目的を達成するがため、時には非情とも言える、裏側の活動や相対する人物描写がいつもの通り細かい。
実際のところはどうかわからないが、巨額な利権が発生する場面では、
人間関係でも様々な思惑が働く。
まさしく昨日の友が今日の敵、展開にはいつもドキドキさせられる
管理職の本分 (講談社文庫)
高杉良氏らしい一冊。生保の実話に基づき仕立てあげていくストーリーはいつもながらだが、その中で管理職たるものはこうありたい=本分を、押しつけがましくなくさらりと読ませる。
ただ、彼らしさを超えるものではないため、すごく安定感というか安心感をもって読み進められるものの、読後の新鮮感、サプライズは無い。
会社蘇生 (新潮文庫)
会社更生法の適用を申請した企業の社員の苦悩と保全管理人に選出された弁護士の涙ぐましい努力が非常によく伝わります。普段新聞で更生法や再生法の記事が出てもその保全管理人がどのような仕事を行っているのかまでは詳しく書かれていないためこの本を読んで目から鱗でした。通常の経営者以上に経営手腕に長けていないと保全管理人は務まらないことが良くわかりました。
この本は保全管理人である弁護士が主人公ですが、企業の更正に望みを託す社員や取引先、支援企業の役員など一人一人も主人公のように描かれており大変面白く読み進むことが出来ます。